CANTONは日本初のジーンズと言われていますが社名は生地屋さんの名前をそのまま使っていました。
CANTONには時代によりキャントンミルズ社製の生地を使ったヴィンテージと、CANTONの名前を復活させ国産の生地を使ったレプリカのようなモデルがありますが、ヴィンテージの手持ちのCANTONを紹介してみたいと思います。
大石貿易
1960年代に大石貿易がキャントンミルズから生地を輸入し日本で縫製されたのが日本初のジーンズと言われています。
当時は飛ぶように売れたそうです。
しかし大石貿易とキャントンミルズで色々あり、大石貿易は1968年頃にCANTONからブランドを変え別のメーカーの生地を使うようになります。
CANTON X-WEST
こちらは大石貿易のあとに70年代に入ってから別会社から出たCANTONになります。
X-WEST CANTONと表記される事もありますが、違いがよくわかりません。
こちらもキャントンミルズ社の生地を輸入し日本で縫製されています。
大石貿易時代のCANTONは見かける機会も少なく、X-WESTの方は現在でも比較的入手しやすく感じます。
大石貿易とX-WESTのディテールを比べてみた
ディテールを見てみたいと思います。
紙パッチ
大石貿易の方は大きな文字でCANTONと書かれていますが下部のWestern jeansに時代を感じます。
X-WESTの方はブランド名と水牛の絵が書かれています。
撮影したものは型番やサイズの表記がありませんが、表記がある物も存在します。

フラッシャー
実際にレトロな物ではありますが、大石貿易時代のフラッシャーのレトロな雰囲気がとても良いです。
X-WESTのフラッシャーは水牛の絵と大きくオンスが表記されるのが特徴だと思います。


フロントボタン
大場貿易の方は3本所有していますが、ボタン鉄製の銀色で★CANTON★U.S.Aの刻印入り。
X-WESTのボタンは同じ刻印入りで銅色になりますが、大石貿易と同じ銀色を稀に見かけます。
X-WEST刻印や両社共通で葉っぱの模様のような汎用品のボタンも見かけます。

ジッパー
ジッパーは手持ちの大石貿易製は全てTALON42でした。
X-WEST製はTALON、SCOVILLどちらも確認済ですがSCOVILLが多い印象です。
リベット
大石貿易製はリベットにも★CANTON★USAの刻印入りですが、X-WEST製は刻印なし。

リベット裏はドーム型だったりフラットだったりしますが銅製です。

生地
キャントンミルズ製の生地には、このようなスタンプが確認できる物もあります。
大石貿易製の物には1本だけ確認できましたが、スタンプがなくてもキャントンミルズ製に変わりはないと思います。
X-WEST製になるとスタンプのデザインが変わり大きくなります。


両社ともに穿きこめば綺麗な縦落ちをした画像を見た事があります。
しっかり縦落ちする物がある一方、X-WESTの方はメリハリの少ないのっぺりした色落ちの物も多く感じています。
次の画像の右側のグレーがかったような、くすんだような色の生地が多く原因はバッドダイ(硫化染料)だと思います。
生地のザラつきやネップ感などは、どちらも素晴らしいです。
X-WEST製でもインディゴ染めの物であれば、縦落ちした色落ちが期待できると思います。
生地のオンスは大石貿易製は14オンスが殆どだと思いますが、X-WEST製は数種類のオンスが存在するようです。


赤タブ、ピスネーム
大石貿易製は赤タブが付きます。X-WEST製はピスネームですが2種類確認しています。


織りネーム
大石貿易は国産ヴィンテージで多く見られるタイプです。X-WESTはUSAの表記はありません。
X-WESTが先と後のバージョンがありますが、片方に内タグを発見しました。


CANTON会
CANTONの製造に関わるにはCANTON会なるものに加入しなければならず、大石貿易時代は現在のBIG JOHNなどが縫製をしていました。
こちらの内タグに見られる、瀧本(株)はX-WEST時代のCANTON会に加入していた会社だと思われます。

縫製糸
手持ちの大石貿易製は全てイエローステッチで縫われていますが、オレンジステッチの物もあります。
X-WEST製はオレンジステッチしか見た事がありません。
アウトシーム
大石貿易が2本とX-WESTが2本ですが、色んなパターンや耳のラインがありました。


オリジナルと復刻の見分け方
復刻版がフラッシャーやパッチが似ている物があります。
大石貿易のオリジナルは
- 紙パッチの文字が黒。
- 織りネームがMADE IN USA。
- フラッシャーの下部に、CANTON TEXTILE MILLS INC.
であれば大石貿易のオリジナルです。
ヴィンテージと言えばリーバイスやコーンミルズが有名だったり、頭に浮かぶと思いますがキャントンミルズの生地も良い生地だと感じます。
股上が浅い物が多い国産ヴィンテージジーンズですが、大石貿易時代のCANTONは他のメーカーより股上が深くシルエットも太めで穿きやすいと感じました。
探せばこの他にも股上が深めの国産ヴィンテージジーンズがあるのかもしれません。
このようなブランド、メーカーのおかげで今のジーンズがあるのだと思います。
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コメント
コメント一覧 (4件)
はじめまして。
大変興味深く拝見させてもらいました。
私も1970年前後の国産ビンテージジーンズが好きで、あれこれと集めておりますが、主にcanton中心です。
以下のURLは私が以前にブログに投稿した記事です。
https://parramatta.hatenablog.com/archive/category/%E5%9B%BD%E7%94%A3%E3%83%93%E3%83%B3%E3%83%86%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%82%B8%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%82%BA
今後も色々と参考にさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
ぱらまた様はじめてまして。
コメントありがとうございます。
ブログ拝見させていただきました。
デッドストックをかなりお持ちで羨ましいです。
texasmitsuba様
ご返信ありがとうございます。
ブログ記事がかなり古いものなので、当時よりも所有本数は増えておりますね。( ;∀;)
輸入素材を国内縫製で仕上げていたあの当時のジーンズ、独特の雰囲気が大好きです。
恐らく、残りの人生でははききれない本数ですので、その時には然るべきところに寄贈するつもりです。(*^-^*)
所有本数が増えてるんですね😄
リーバイスのヴィンテージよりも安いですし、国産ヴィンテージも雰囲気がいいですよね(^^)